都内の総合病院。とある秋の正午頃。脳外科医・相馬は突然の目眩に襲われ、ロビーのベンチで体を休めていた。受付では看護婦と老人患者が何か会話をしている。受付で老人の名前を呼ぶ看護婦。
看護婦「鳥越(とりごえ)さ〜ん」
老人「ワタクシ、鳥越(とりこし)です。」
看護婦「え、あ…ごめんなさい。鳥越(とりこし)さん」
老人「ワタクシ、鳥越(とりこし)です。」
老人はボケているらしい。交通事故で頭に重傷を負った女性が運び込まれてくる。人手が足りない為、体調不良をおして手術に挑む相馬。女性は一命を取り留める。しかし手術を終え、相馬の体調はさらに悪化。早退することに。おぼつかない足取りでタクシーに乗り込み、自宅へ向かおうとするが運転手が行き先を質問したのに対し、くしゃみをしてしまったのをきっかけに、何故か見たことも無い街へと連れて来られてしまう。その街の名は『イックシィンッ』。
仕方なく別のタクシーを呼ぼうとするが携帯電話が圏外の為、公衆電話を求めて街を彷徨う。街は霧に覆われ、おおよそ日本に実在するとは思えない奇妙な町並みが続いている。和洋の建築様式が入り交じり、増築に増築を重ねたような混沌極まる迷路のような建造物によって構成された居住区。そして異様な住人たち。聞き慣れない言語が飛び交い、人間には程遠い姿をした生物たちも平然と生活している。やっとの思いで公衆電話を見つけだし、電話をかけようと受話器を取り、ダイヤルを回すが…。 |